2022年度JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業(SAKURA SCIENCE PROGRAM)でバングラデシュから研究者6名が来日し、島根大学で養液栽培について研修を行いました

公開日 2022年09月07日


 JST(国立研究開発法人科学技術振興機構、Japan Science and Technology Agency)では、「新たな時代の社会を担う、世界の優れた人材を日本に短期間招き、日本の最先端な科学技術や文化に触れていただくプログラム」として2014年度から「日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプログラム)」が開始されました。
 今回、生物資源科学部で実施した「バングラデシュ若手研究者向け養液栽培研修」はバングラデシュ国立農業研究所 (BARI)から若い研究者を招いて、2018および2019年度に実施し、2021年度にはコロナ禍、オンラインで行ったプログラムに次ぐ4回目になります。今回の参加者は昨年度オンラインで参加した研究者で、来日を心待ちにしていました。
 バングラデシュでは今まで他国の技術支援で化学肥料や殺虫剤を多用して作物を栽培したため、土壌の環境汚染や残留農薬により農作物の品質低下を招いています。そこで、バングラデシュの若手研究者を日本に招致し、土壌を使用しない養液栽培技術を習得し、バングラデシュの安全な食料生産と貧困農家の所得向上を目指してもらうために本研修を企画しました。
 研修1日目の8月16日には、本学大谷 浩理事への表敬訪問の後、学生アンバサダによる島根大学紹介と松江キャンパスツアー(島根大学総合博物館アシカルや附属図書館など)が行われました。その後、日本の歴史遺産である松江城を見学しました。
 2日目の8月17日には、本庄総合農場で研修を行いました。午前中は植物工場支援研究施設やハウス等の見学を行いながら日本の養液栽培技術について学ぶと共に、島根大学で行われている養液栽培研究について見聞することができました。午後からイチゴの組織培養、植物体の分析法、培養液の作成法について実習を行いました。
 3日目の8月18日は、出雲市にある島根県農業技術センターを訪問し、アスパラガスやミニトマト、そして、メロンのハウスの見学と試験研究について説明を受けました。バングラデシュの研究者からは多くの質問が出ていました。バングラデシュではアスパラガスの栽培はなく、農技センターの方の好意によりアスパラガスの試食がおこなわれ、その味に満足でした。また、ミニトマトを口にしながら、その選果機を見せてもらいました。
 昼食後、出雲大社を訪問し、松江市にある日本庭園の由志園に向かいました。伝統的な日本庭園では多くの場所で写真を撮り、1日が終わりました。
 4日目の8月19日は、本庄総合農場で培養液の分析法などの実習が行われ、すべての研修が終了しました。その後、このプログラムの修了書が参加者一人一人に手渡されました。参加者からは多くの感謝と帰国後、この研修で得た知見をバングラデシュ農業に活かせるように努力したいという言葉がありました。
 今後、彼らがバングラデシュでどのように養液栽培技術を発展させ、バングラデシュ国民の健康と農家の所得向上を担っていくのか、彼らの活躍を願いつつ、本プログラムを修了しました。

  
大谷理事への表敬訪問           総合博物館にて

    
附属図書館にて              松江城視察

  
植物工場支援研究施設にて         サツマイモ養液栽培ハウスにて

  
メロン養液栽培ハウスにて         植物体の分析

    
島根県農技センターにて          アスパラガスの試食

    
出雲大社にて               由志園にて

   
修了証授与                国際課訪問


お問い合わせ先:
島根大学生物資源科学部
浅尾俊樹
Email: asao@life.shimane-u.ac.jp(送信の際は@を半角にしてください)