第7回出雲文化学「出雲国風土記研究の歩み」の講演がありました

公開日 2014年06月10日

 出雲文化学の第7回講義が5月30日、本学ホールで行われ、本学法文学部社会文化学科の大日方克己教授が「出雲国風土記研究のあゆみ―江戸時代、古代出雲を求めて」と題して講義しました。市民パスポート会員41人を含む250人が受講しました。
 大日方教授は、風土記は713年(奈良時代)に60余りの諸国に出された地誌の編纂命令を受けて編纂されたが、現存する風土記は出雲国のほか4国のみだと概説。「出雲国風土記」の特徴として、地名の由来が神にあると書いてあることなどを挙げました。
 風土記の多くが中世に失われ、現存しているものはほとんど徳川家康が関与した写本であり、島根県に現存する中で最古の「出雲国風土記」の写本は、尾張藩主・徳川義直が書写させ、日御碕神社に寄進したものである、とし、家康の孫で初代松江藩主の松平直政に仕えた黒沢石斎の著した「懐橘談」は「出雲国風土記」を引用していることや杵築大社の変遷を説明しました。
 江戸時代、松江藩の役人だった岸崎佐久次は、32年間の現地踏査を重ねて「出雲風土記抄」を作成しました。大日方教授は、その序文および本文や調査の実態、役人としての彼の仕事などから、岸崎の歴史認識を当時の村や郷などが風土記までさかのぼってアイデンティティを獲得し、また松平家の統治を正統化させるものだ、としました。
 大日方教授は、岸崎の認識は歴史的事実と異なったり、個人的な解釈が含まれていたりするが、それをきっかけにして風土記とその研究が全国に広がっていったと締めくくりました。
 出雲文化学第8回講義は6月6日、出雲大社権宮司の千家和比古氏が「出雲大社平成遷宮~始まりから今~」と題して講義します。

 

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