第26回島根大学サイエンスカフェを開催しました

公開日 2009年07月13日

 

7月6日(月),島根県市町村振興センターで第26回サイエンスカフェが開催され,生物資源科学部で産学連携部門地域産業共同研究部門長の佐藤利夫教授が「排水からのリン除去・再資源化システム確立による地域産業の保全と地域活性化」をテーマに講演を行いました。

今回は産学連携センターとの共催で一般市民の他,行政,企業関係者を含めて約50名が参加し,コーヒーを片手に話しに聞き入りました。

私たちの生活排水や工場排水に含まれるリンは,宍道湖・中海でも問題視されているように富栄養化の原因となるものです。一方,リンは農業肥料として欠くことのできない資源であり,わが国では100%を輸入に頼っていますが,将来的には枯渇が危ぶまれている資源でもあります。

こうした背景のもと,佐藤教授は排水中のリン酸イオンを選択的に吸着できるハイドロタルトサイト化合物(HT)を繊維に担持させた吸着材(HTCF)によって,リンを排水から除去して水環境を守ると共に,大切な資源として回収する仕組みを分かりやすく話しました。そして,このHTCFを使ったリン吸着除去法について,高性能なリン除去が可能,容易にリンの回収・再資源化ができる,汚泥の発生もなく繰り返し使うことができる等,これまでのリン除去方法よりも優れている点をアピールしました。

佐藤教授は,開発したリン除去・回収装置を中国地方の除去装置の少ない中小規模排水施設をターゲットに設置を広げていきたいと展望を述べ,リサイクルの観点からも,汚れたものを捨てるのではなく,環境浄化と資源循環を併せて行うことが課題だと述べました。

テーマは,やや難しい内容と思われましたが,市民からの質問も多く飛び交い,資源循環技術に対する期待を窺うことが出来ました。

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