第78回ミュージアム講座「人の暮らしに近い山、三瓶山」を開催しました。

公開日 2015年06月03日

 5月30日(土)、第78回島根大学ミュージアム市民講座「人の暮らしに近い山、三瓶山」(まつえ市民大学連携講座)を開催しました。この講座は、平成27年度島根大学ミュージアム市民講座第1ステージ「山と川をめぐる自然史と文化史」の第1弾です。

 今回の講師は、中村唯史先生(三瓶自然館学芸員・島根大学嘱託講師)で、内容は、島根県を代表する山である三瓶山と人との関わりについてでした。

 はじめに火山としての三瓶山の歴史について説明がありました。三瓶山は、約10万年前に形成され、約4000年前までの間に7回の活動期があったことが分かっています。三瓶山から約20km離れた大田市街地では、約7万年前の三瓶山の火山灰が10m以上の厚さで堆積しており、過去に大きな噴火があったことが実感できます。三瓶山は、かつては休火山と呼ばれていましたが、現在では定義が変わって、Cランクの活火山に含まれています。三瓶山もいつ噴火するか分からない火山であることが改めて感じられました。

 江戸時代には、山麓で牛の放牧が始まり、草原の景観が広がりました。また、明治時代から戦前までは、陸軍の演習地として使用されました。戦後は、国立公園に指定され、島根県を代表する観光地となっています。このように人の手が長期にわたって加えられ草原が維持されてきたおかげで、他地域ではほとんど見られなくなった草原性の希少植物の宝庫となっています。

 講演後、聴講者からは、多くの質問がなされました。また、東日本大震災以後、御嶽山や箱根山、口永良部島などのように、火山活動が活発化していることから、活火山としての三瓶山の話について特に熱心に耳を傾けておられました。身近にある活火山の歴史を知ることで、今後の防災意識の向上にもつなげてもらえれば幸いです。 

講演の様子

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