総合科学研究支援センター 蜂谷卓士助教らの研究グループが,植物の地下での情報のやりとりを発見

公開日 2022年02月04日

▼本研究のポイント

・地下茎で繁殖するイネ科植物が、地下茎を介した情報のやりとりにより、不均一な窒素栄養環境に巧みに応答して成長する仕組みを発見

・本研究成果は、社会的にインパクトのある米国植物生物学会の学会誌「Plant Physiology」に掲載

 

▼本研究の概要

 一般的な植物は、開花、受精により結実し、種子を形成することで繁殖します(種子繁殖)。一方で、竹や芝などのように、地下茎と呼ばれる器官を分枝させながら伸長させることで、生育範囲を拡大させ、繁殖する植物種が存在します(栄養繁殖)。

 

 栄養繁殖する植物の群落では、成長する幾本もの株(ラメット)は、地下の地下茎で繋がっています。このラメット間の地下茎を介した情報のやりとりの実体については、これまでほとんど分かっていませんでした。

 

ラメット

ラメット:栄養繁殖を行う植物において、上茎と根からなる植物体のこと。

 

 本研究では、栄養繁殖をするイネ科植物が、窒素栄養条件が不均一な状況下において、窒素不足側からの情報を受け、窒素豊富側のラメットでは相補的に多くの窒素を吸収・同化し、窒素豊富側のラメットの成長を優先させることがわかりました。

 

 本研究成果は、複雑な環境下で生き延びる植物のふるまいの一端を明らかにしたもので、植物バイオマス1)の生産性向上などへの応用が期待されます。

 

 本研究には、島根大学総合科学研究支援センターの蜂谷 卓士 助教のほか、名古屋大学、新潟大学、東京大学、理化学研究所らが参加しており、名古屋大学の榊原 均 教授が筆頭著者となった論文が、2022年2月4日午前9時(日本時間)付アメリカ植物生物学会の学会誌「Plant Physiology」に掲載されました。

 

 

1)バイオマスは、生物が太陽エネルギーを使って水と二酸化炭素から光合成によって生成した有機物であり、一度利用すれば再利用が困難である石油のような化石資源とは異なり、持続的に再生可能と言われている資源です。また、化石資源は燃焼等によってCO2を排出するのに対して、バイオマスの燃焼時に排出されるCO2は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2であるため、新たにCO2を増加させない「カーボンニュートラル」な資源と言われています。

 

 

▼詳細はこちら

【島根大学】総合科学研究支援センター 蜂谷助教[PDF:606KB]

 

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