【学生取材】「教員の"す" ~教員の素顔に迫る!島根大学人間科学部心理学コース石原宏先生 前編~」

公開日 2023年05月26日

2023.4.17

島根大学人間科学部心理学コースの石原宏先生にインタビューさせていただきました。

コロナ禍で先生方との関わりが少ない中、もっと先生方について知りたいという思いが芽生えこの企画に至りました。

 

記念すべき初回は、心理臨床の実践と箱庭療法を中心に研究しておられる石原先生にお話を伺いました!

実は、私たちインタビュアーの大学入学後初めての指導教員でもありました。

 

前編では石原先生の大学時代のお話から素顔に迫りました!

 

石原宏先生 プロフィール

●研究分野:臨床心理学

●研究テーマ:箱庭療法の研究 心理臨床の研究法に関する研究

●担当科目:グループアプローチ概論、心理的アセスメント、人間関係論、心理学研究法

 

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目次

ー 本に熱中した大学時代

ー 大学生の間に「熱中」するのがオススメ

ー 臨床心理学分野に進んだ理由

 


 

■「河合隼雄先生の本をずっと読んでいた」

 

Q:どんな大学1年生でしたか?

 

石原先生 大学1年生のときは、人生で一番本を読んでいたんじゃないかと思います。当時は、2時間半かけて京阪電車に乗って、大阪から京都まで通っていて、その間ずっと本を読んでました。更に大学に着いても授業に出るのはほどほどにして、図書館に籠って本を読んでましたね(笑)当時はお金がなかったから本は全部、大学の図書館で借りてました。だからその頃読んでいた本は今ほとんど持っていなくて、研究室にある本は働き始めてから買ったものですね。

 

 ーーーどんな本を読んでいたのですか?

 

石原先生 とにかく河合隼雄先生の本をずっと読んでました。とても面白くて、もう手に入るものは全部読もうっていうくらいでしたね。

 

 ーーーおすすめの本はありますか?

 

石原先生 なんでも面白いです。最初に読むものとして、『ユング心理学入門』を勧める人が多いと思うんですが、私は『カウンセリングの実際問題』が一番好きですね。河合先生がお若い頃の事例を載せておられて、いつ読んでも勉強になることばかりで、何回も読んでます。

 

 ーーー本の内容を忘れないようにするために、まとめたりしますか?

 

石原先生 大学生のころは全部ノートにとってましたね。パソコンを一人一台持っているという時代ではなかったから、ほんとにノートに手書きで書いてましたね。

 


 

■「自分が熱中できるものに熱中しておくといい」

 

Q:大学生活でしておいたらオススメだよということはありますか?

 

石原先生 大学生活は忙しいと思っている高校生の方もいると思いますが、後から考えると、大学生の間は正直暇なので(笑)暇な時間を使って、何でもいいから自分が熱中できるものに熱中しておくといいと思います。

 

熱中するものは本当に何でもよくて、変な話、社会的な価値がなくてもいいと思います。将来のために何かやろうとかでなくても、ただ好きだからやるみたいなことを一生懸命やっておくといいんじゃないかと思います。

 

まあ熱中するのが勉強でも全然いいんですが、いわゆる役に立ちそうにないものでも、まったくよいと思うのでとにかく何かに熱中しておくと、いいと思います。特に臨床心理学をやりたいと思っている人の場合は、結局何でも役に立つもんだと思う日が来ると思います。

 

私は、本を読んでいると幸せなんですよ。だから、まぁずっと本を読んでいた、というだけの話です。ジャンルは何でもよくて、人が一生懸命書いたものを読むのが好きですね。

 

 

■「面白い人がやっている学問がやりたい」

 

Q:高校生の時に大学や学部を選ぶ時に、なぜこういう分野に進みたいと思ったのでしょうか?そのときに大事にした判断というのはありますか?

 

石原先生 何を大事にしたのか、自分でも全然分からないんですけどね。今から思うと、自分はちょっと現実的な感覚が薄かったと思いますね。現実的にお金稼いでご飯食べて行かないといけない、みたいなことをうまく考えられないというか。就職のこととか全く考えないまま、まあ面白いし心理学に進もうかな、みたいなことしか考えてなかったので、あまりみなさんの参考にならないと思うんですけど。

 

でもやっぱり河合隼雄先生の本とかを読んでいると、“こういう面白い人がいるんだから”という感じで、こんな面白い人がやっている学問っていうのかな、それを自分もやってみたいっていう感じだったと思います。

 

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 ーーー河合先生のどういうところが面白いですか?

 

石原先生 常識的に見ていると何の意味もなかったり、あるいはネガティブにしか思えなかったりする事柄に、本当は大事な意味があることを教えてくださるところだと思います。そういう学問的な面白さはもちろんなんですが、実際に人を笑わすという意味でも、とても面白い方です。ほんとにダジャレみたいな言葉遊びがうまくて、しょうもないことをおっしゃって周りの人を爆笑させるんです。そういう人の笑わせ方という意味でも、めちゃくちゃ面白い先生なんです(笑)

 

私は、河合先生が退職された後に大学に入ったので直接は学んでいないですが、学生でも参加できる講演会とかがあると、誰かが「河合先生がどこそこで講演するらしいよ」と言って情報をつかんできてくれて。あ、そしたら行こう行こうってみんなで聞きに行くみたいなことをしてました。

 

河合隼雄先生みたいには絶対なれないですが、こんなに面白い人がいる分野っていうのかな。そういうことを、やっぱり勉強してみたいなっていうのが一番強かったと思います。

 

そんな感じで臨床心理学を選んだので、リアリティーはなかったですね(笑) (インタビューアーのお二人が受講した)どこかの授業資料に書いたことがありますが、4年生の最後にね、(預金)残高が9,000円までいってしまった、ということもありました。

 

 ーーーぎりぎり過ぎますね(笑)

 

石原先生 そんな感じなのに、大学でもそんなバリバリとアルバイトをするわけでもないんですよね。まあどうにかなるかというか、そういう感じで考えた上でどうにかなると思っているわけじゃなくて。考えてもいないんですけどね (笑)そのへんが何を考えていたのか、自分でも不思議です、今から思うと。

 

でも、大学生のときに現実をしっかり見つめて将来に対して不安になっていたら、いまこの分野で研究はやっていなかったと思います。

 

そういう意味では、今の大学生の皆さんはすごいなと思います。将来を早く設計しなさいって言われてますよね。就活に向けて、1年生からやるべきことは…みたいな考えが強いですよね。今の時代だったら、私は適応できなかったと思います。

 

私は、会社とかで働いている自分っていうのは全然想像できなかったので、だからまぁ、とにかく大学院には行こうと思ってたのはあります。

 

 ーーーしっかり本を読んで勉強してたことが功を奏したというか。

 

石原先生 ほんとにそうですね、言えてますね (笑)

 

 ーーーちゃんと興味のあることがはっきりしていたんですね。

 

石原先生 結果的に。ほんとそれは幸せだったと思います。

それこそ、「なんのために生きてんねやろ」とか言う、考えて答えのないようなことを、高校生とか中学生のときとかにうじうじと考えていて、そういうこと考え続けていても仕事になるっていう意味では、臨床心理学っていう学問があって良かったなって思います。そういうのができる分野っていうのは自分にとっては、ありがたいですよね。

 

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最後に

石原先生の、授業中に垣間見えていた、ユーモアたっぷりな部分に沢山触れることができ先生の存在をより身近に感じることが出来ました。

特に「河合先生のような面白い人がやっている学問をやりたいと思った」とおっしゃっていたことが印象的でした。‘一般的に良いとされていること’に縛られてしまいがちな現代ですが、自分の興味関心に素直に従うということがとても素敵なことだと感じました。

 

また、この記事を読んでくださった方にも、石原先生の素敵な人柄が伝わればいいなと思います!

 

後編では、石原先生からみた島根大学についてお伺いしていますので、是非、合わせてお読みください。

 

 

(学生広報サポーター 取材・撮影 淺井明日葉・綾部珠咲)