岸田首相が本学を視察されました

公開日 2023年08月08日

令和5年7月31日(月),岸田文雄 首相が島根大学を訪問され,次世代たたら協創センター(NEXTA)棟において,島根県における地方創生に資する産学官連携の取組み状況や島根県,島根大学,地域産業界が取組む「先端金属素材グローバル拠点の創出 -Next Generation TATARA Project-(通称:たたらプロジェクト)」で整備した研究設備,材料エネルギー学部の授業を視察されました。

 

冒頭,丸山達也 島根県知事より来県のお礼と挨拶のあと,服部学長より,出席者の紹介(山根成二島根県議会副議長,岸上一郎(株)プロテリアル安来工場長,Roger C. Reed NEXTAセンター長(Oxford大学教授), Catherine Rae NEXTA客員教授(Cambridge大学教授),野津直人さん(本学総合理工学部4年生))を行いました。

次に,服部学長より島根県における地域連携プラットフォームの構築,産学官連携の代表的な取組みである「たたらプロジェクト」,地域の産業変革をリードする人材育成に取り組む令和5年4月開設の「材料エネルギー学部」について説明を行いました。

続いて,野津さんから,オックスフォード大学での留学経験についてプレゼンがあり,「この留学で強く刺激をうけました。今後大学院に進学して研究を進め,地域産業に貢献できる人材になりたい。」との決意を述べました。

岸田首相から「産学連携や人材育成に非常に良い関係で取り組まれている島根県や島根大学,産業界の取り組みを理解しました。国としてもこうした良い取り組みに対して,これからも支援をしていきたい。」とのお言葉をいただき,最後に出席者で岸田首相を囲み,記念撮影を行いました。

前列左から服部島根大学長,岸田首相,丸山島根県知事

その後,首相は「たたらプロジェクト」において,県内企業とともに取組む研究開発で使用するデジタルサーボプレス(※1)とCNC旋盤(※2)を視察され,服部学長から設備の概要について説明を行った後, NEXTA沓掛助教によるCNC旋盤と協働ロボットを連携させた切削加工実験について,デモをご覧いただきました。

研究設備の視察の様子。右から岸田首相,服部学長,沓掛助教

 

説明を受けられた首相は,「AIは何を判断するのですか?」とご質問されるなど,AIが CNC旋盤の切削を制御することに強い関心を持たれた様子でした。

 

次に首相は令和5年度新設の「材料エネルギー学部」の授業を視察されました。材料エネルギー学部は,エネルギー課題を素材・材料の視点から理解し解決することを学ぶ新しい学部です。

首相は材料エネルギー学部で実施しているアントレプレナーシップ教育(※3)の授業の中間発表を視察されました。

 

学生による中間発表の様子

 

発表後,首相は学生らに「どのようなことに魅力を感じて入学されましたか。また,将来のキャリアや地域貢献について,どのような夢をお持ちですか。」と質問され,学生からは「海洋ゴミ問題の1つとして挙げられているマイクロプラスチックに興味があり入学した」「アントレプレナーシップなど,他の大学には無い新しい取り組みがあるところに魅力を感じた」「将来は有機化学分野の製品の開発に携われるような仕事をしたい」と答えるなど,和やかな雰囲気で質疑応答が行われました。

首相から「大学で学んだ研究成果で社会,島根県に貢献することは素晴らしいこと。頑張って欲しい」と激励の言葉をいただき,学生一人一人と握手を交わされるなど,学生たちにとって大変有意義な時間となりました。

学生らと言葉を交わす岸田首相

 

視察を終えた首相からは,会見の席で「島根県や地域産業の方々の期待,そしてたたら製鉄の伝統が息づく地で,地域特性に根ざしながらキラリと光る研究を進める島根大学の意欲,そして地域に役立つ気持ちを持ちながら起業に必要なことを学ぶ若者の熱意,こうしたものを感じることができました。こうした先駆的な取り組みを引き続き支援していきたい」とのお言葉をいただきました。

 

 

※1 板金素材に上から高い圧力を加え,装着した金型の形状に打抜いたり,変形させるプレス機械で,プレス速度や深さを細かく制御できる機能を有したもの。

※2 コンピュータ制御で,回転する被加工物に刃物を当てて切削する工作機械。CNC: Computerized Numerical Control

※3  新学部の柱となる教育で,島根大学の研究成果・技術の社会実装について考え,最終的には自分たちで考えたビジネスプランを発表するという授業。材料エネルギー学部1年生の必修科目となっている。