公開日 2024年04月04日
この度,総合理工学部建築デザイン学科において,4年生の卒業研究「石見神楽の面が持つ音響特性」に関する実験が行われました。
実験は,主に松江市内で石見神楽公演を行う松江真舞会のご協力のもと行いました。厳密な音の測定のため,音の響きの無い無響室において,松江真舞会の方に神楽面をつけた状態・つけていない状態で口上の録音や,神楽面の音声への影響を検証するために,各種神楽面の音の響きや音量の違いなどを,音の周波数などを基に測定しました。
私は面をつけた状態では面をつけていない状態と比べ声が籠っているように聞こえ,面の有無で音の響きが違うことに驚きました。また松江真舞会の方から,和紙で作られた面と木で作られた面では反響が違うこと,昔と今の面では声の聴き取りやすさを考慮して穴の数に違いがあること,会場によっては音響設備を持ち込むなど,工夫がされていることを教わりました。
後日,録音した音声に神楽面の音響特性を加え,その実験用の音声をもとに実験を行いました。実験では2つの音声を比較し,音の籠り具合や聞き取りやすさ,迫力などについて被験者がどのように感じたかについて調査しました。私も実験に参加しましたが,音の籠り具合で迫力に違いが出ることに驚きを感じました。私は神楽を何度か見たことがありますが,面の有無や素材の種類だけでなく,神楽を公演する場所や音響設備などで迫力や音の響きに違いが出ることについて初めて知ることができました。今後,神楽を見る際には音の響きに注目してみたいと思いました。
この卒業研究で得られた知見が,石見神楽や出雲神楽など多くの地域の神楽の発展のきっかけになることを願っています。
(学生広報サポーター 撮影・取材 立畑泰征)