公開日 2025年05月27日
令和7年5月14日(火)、「令和6年度島根大学研究表彰講演会」を開催しました。本学大学ホールとオンラインのハイブリッドにより、教職員・学生、約80名の参加がありました。
本学では毎年度、「島根大学研究表彰」として、学内研究者の顕著な研究業績を評価・顕彰しています。本講演会は、令和6年度島根大学研究表彰を受賞した研究者の優れた研究内容を学内に広く紹介することを目的に開催しました。
はじめに、齋藤 文紀 副学長(研究推進担当)から、島根大学研究表彰の概要と本講演会の趣旨について説明がありました。その後、齋藤副学長の司会進行のもと、本表彰を受けた研究者3名と1研究室による研究紹介と質疑応答がありました。
齋藤文紀 副学長(研究推進担当)の挨拶
【研究表彰(奨励)】 須貝 杏子 助教(生物資源科学部) 「日本の島嶼地域における植物種の多様化に関する研究」
須貝助教は、小笠原諸島に見られる植物の特徴的な進化現象「適応放散」(1つの祖先種が様々な環境に進出して複数の分類群に種分化すること)についての遺伝子解析結果事例のほか、隠岐諸島の樹木組成、隠岐島内のミズナラの広範囲な分布と樹木の種間交雑の影響調査について発表しました。
【研究表彰(学術)】 安部 孝文 講師(地域包括ケア教育研究センター) 「島根県の健康寿命延伸に貢献する口腔ケア疫学研究」
安部講師は、島根県邑南町の40~74歳の一般市民を対象とした集団健診における口腔検査に基づくコホート研究等について発表し、島根県の高齢者を対象に市販のグミで評価する咀嚼機能が高血圧・糖尿病などの生活習慣病、身体機能、更には要介護や死亡に影響することが明らかになったことを解説しました。
【研究表彰(学術)】 新城 淳史 教授(次世代たたら協創センター) 「金属積層造形プロセスの最適化へ向けた、熱・流動・凝固の超精密シミュレーション」
新城教授は、現在世界で注目が高まっている金属積層造形(3Dプリンティング)を実用エンジンに適用するための技術課題の解決を目的に研究しています。金属を積層する過程で問題となる気泡生成の抑制、高速の積層造形での薄いコーティングを行う際の熱の最適条件など、高精度な数値シミュレーションに基づいた課題解決の事例を紹介しました。
【研究表彰(功労)】 藤田 恭久・吉田 俊幸 研究室 (自然科学研究科) 「酸化亜鉛薄膜・ナノ粒子による破壊的イノベーションと社会実装」
藤田・吉田研究室は、2024年12月、世界トップクラスの半導体業界の国際展示会セミコン・ジャパンの「アカデミアAward2024」において、最優秀賞とスポンサー賞のSUMCO賞を受賞しました。藤田教授と吉田准教授は、受賞の経緯と発表内容を話題に、ベビーパウダーの成分である安価な酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を塗布した発光デバイスなど島根大学ナノテクグループで開発した技術・シーズによる破壊的イノベーション(既存技術とは異なる技術を使うことによる技術革新)と社会実装の取組み事例について紹介しました。
研究紹介の後、受賞者に記念品の贈呈があり、最後に大谷浩学長が「今日の講演は、本学で誇るべき研究であり、若い方たちに聞いていただきたい。島根・古代出雲の文化、歴史といった人文科学系の研究者とも連携し、地域に根ざしたユニークな研究ができれば、更に世界的な注目と研究費の獲得を得られると思う。」と述べました。
記念品の贈呈 大谷学長の閉会挨拶
【お問合せ】
研究・地方創生部研究推進課
学術研究支援グループ
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