公開日 2025年09月17日
9月9日と10日、生物資源科学部研究交流会(共催:島根県果樹技術研究会)として「国際果樹セミナー(International Exchange & Seminar on Persimmon)」を開催しました。島根大学松江キャンパスにおいてセミナー講演会と交流会(情報交換会)を行ったほか、県内の主要な柿産地の視察会を実施しました。
毎年、島根大学の教員や島根県農業技術センターの研究者、地元の生産者などが集まり勉強会を開いていますが、今年はさらに規模を拡大。韓国の甘柿研究所や尚州柿研究所、慶尚国立大学校などから7名の研究者・教員・院生を、また農研機構果樹茶業研究部門(東広島市安芸津町)からも4名の研究者を招きました。総勢50名近くの果樹関係者が一堂に会し、「柿」をテーマに研究交流を深めることができました。
セミナーでは、まず韓国の研究者3名から、韓国における柿生産の現状をはじめ、栽培・収穫技術、そして新品種の開発について説明がありました。続いて、農研機構の研究者からは日本の柿育種、島根農業技術センターの研究員からは西条柿の栽培と研究について、畑干し柿生産組合からは干し柿のブランド化や海外と繋がる取り組み事例が紹介されました。島根大学からは留学生を含む4名の院生・学生が、柿の害虫防除、柿皮の茶への利用、学生による農家支援、新たな西条柿の育種研究といった、柿にまつわる様々な研究活動について発表しました。
視察会では、柿の生産現場を巡りました。地理的表示(GI)を取得し100年フードにも認定されている東出雲町畑地区の干し柿生産園や、柿を干すための独特な構造の建物「柿小屋」を見学。さらに、樹齢500年の西条柿古木(松江市秋鹿町)、県内最大の産地である出雲市平田地域のJAしまね出雲平田柿部会のリース団地での西条柿栽培、島根県農業技術センターでの西条柿のジョイントY字仕立てなど、多岐にわたる生産や栽培試験の現場を視察しました。西条柿の品種特性や栽培技術、さらに果実生産における課題などについて、実際の現場を見ながら学び、議論を深めることができました。
今回のセミナーは、柿を中心とした果樹に携わる若手研究者や生産者にとって、国際交流の場として大きな意味を持ちました。これからの国際的な柿産業について展望する貴重な機会にもなりました。