公開日 2025年11月14日
2025年11月12日(水)、松江キャンパス生物資源科学部3号館にて生成AI活用FDセミナー第2弾(教育)「企業の生成AI活用事例‐社会での生成AIの活用状況と最新情報‐」を開催しました。本セミナーは、10月30日に開催した生成AI活用FDセミナー第1弾に続き、主に教育をテーマに大学における生成AI活用の可能性を探ることを目的に、教職員・学生を対象として開催したもので、第3弾は研究をテーマに12月に開催予定です。
今回は、人間科学部の学生ベンチャー「株式会社ストラテジーAI」代表取締役の中尾香達氏を講師に迎え、企業での生成AI活用事例や社会での最新動向について講演いただきました。
講演の冒頭では、大学教育センターの吉崎講師から中尾氏の経歴が紹介されました。中尾氏の東京や海外のAI開発企業での経験を踏まえ、現在の生成AIを取り巻く世界の動向についてご講演いただくとの趣旨説明がありました。
続いて、生成AIツールの紹介と実演が行われました。中尾氏は対話型生成AI「ChatGPT」で作詞し、音楽生成AI「Suno AI Music」で作曲して島根大学のイメージソングを即興で制作しました。また、「Google Gemini」を使い、わずか2行の指示からタイピングゲームのコードを生成し、デモを実演されました。さらに、Microsoft社がエンジニア6000人の削減を発表した事例にも触れ、AIが人間より早く正確に作業ができる現状があり、プログラマー等の特定の職種に関しての解雇実績が増加傾向にある実例を示しました。
中尾氏は、生成AIへの関心の高まりの説明にChatGPTを例に挙げ、その急速な普及にも言及しました。アプリ版は発表からわずか2か月で一億人ユーザーを突破し、現在は7か月連続でダウンロード数世界1位となっているという状況から、世界的な関心の高まりと利用拡大がうかがえます。現在、生成AIツールは200以上あり、その知能指数(IQ)はかつて60~90程度でしたが、ChatGPT-5は現在IQ148に達しています。さらに、AIはPC上の作業だけでなく、肉体労働にも進出しています。BMWの自動車工場や家庭向けヒューマノイドロボット「NEO」の事例が紹介され、「一家に一台AIロボットの時代になるかもしれない」と語られました。
企業での導入状況と課題についても説明がありました。日本は先進国の中で企業導入が遅れていますが、全国では徐々にGoogle GeminiやChatGPTなどの利用が広がっています。導入が進まない要因として、情報漏洩リスク等の懸念があります。しかしながら、法人契約が遅れることにより個人判断による無料版AIの利用リスクが高まる、いわゆるシャドーITのリスク増加傾向が見られ、適切な管理のできる法人契約版の導入を推奨されました。
講演後の質疑応答では、山陰地域の導入率の低さ、導入後に生成AIを適用しやすい業務、自治体等での活用例などが話題となりました。
11月は生成AIハンズオンセミナーを2回、12月には研究をテーマとしたセミナー2回の開催を予定しています。今後も、大学における生成AI活用の可能性が広がるようなセミナーの開催を企画してまいります。

お問い合わせ:総務部情報推進課 TEL:0852-32-6031