公開日 2024年09月24日
9月21日(土)、第147回アシカル講座「日本遺産:石見の火山が伝える悠久の歴史~”縄文の森” ”銀の山”と出逢える旅へ~(大田市)」を開催しました。この講座は、令和6年度アシカル講座第1ステージ「島根の『日本遺産』を学ぶ」の最終回になります。
今回は、中村唯史先生(島根県立三瓶自然館 学芸員・島根大学非常勤講師)から、大田市にある日本遺産について解説いただきました。島根県の中央部、大田市にある日本遺産「石見の火山が伝える悠久の歴史~”縄文の森” ”銀の山”と出逢える旅へ~」は、仙ノ山・三瓶山などをはじめとする火山をキーワードにしたストーリーによって構成されています。
かつて大量の銀が採掘されていた、世界遺産となっている石見銀山の仙ノ山は、日本一大きな火山砕屑丘(噴出した火山砕屑物が火口の周囲に積もって形成された丘)です。この火山砕屑物の隙間に、地下から銀を含む熱水が浸透し、鉱床が形成されました。仙ノ山の鉱床は、火山砕屑丘の中に形成されたため、比較的柔らかく、16世紀の技術でも掘りやすかったことから生産量の増大につながりました。
三瓶山は、中国地方に2か所しかない活火山で、縄文時代に2回の大噴火を起こしています。約4000年前の噴火では、土石流によって、当時の巨大なスギの林がそのまま埋まった国指定天然記念物「三瓶小豆原埋没林」が形成されました。三瓶山の山麓は、火山灰土壌で水田に適さなかったために、江戸時代から牛馬の飼育がなされ、牧野景観を作りだしました。また、水はけの良い火山灰土壌や寒暖差の大きい高原気候は、「三瓶そば」という特産品を生み出しました。
この他、大田市内には、室町時代から墓石などに利用されてきた福光石(1500万年以上前に海底火山から噴出した火山灰が堆積してできた緑色凝灰岩)や火山活動によって今も湧き出る温泉津温泉など、火山の恵みから生まれた地域資源が数多くあります。
以上のように、この地域では、火山活動によって生み出された様々な独特の自然・歴史・文化・産業をみることができます。受講生の皆様は、本日の講座で大田市の日本遺産のストーリーを学び、改めて訪れてみたいとおっしゃっていました。
お問合せ先 島根大学総合博物館 TEL:0852-32-6496