自然科学研究科博士前期課程の理念・目的,入学者受入方針,教育内容等

自然科学研究科博士前期課程

理念

養成する人材像

専攻分野における確かな専門知識や技術,超スマート社会で主体的な役割を担うための情報技術力,外国語によるコミュニケーション力とグローバルな感性,そして柔軟な発想力を持って,社会や産業の構造変化に即した科学・技術の発展と持続可能な社会の実現に俯瞰的・総合的視点から寄与できる創造性豊かな高度技術者・研究者及びグローバルな視野を持って地域社会の発展に貢献できる人材を養成する。

学生に修得させる能力

  • 専門分野における高度な知識と研究・開発力
  • 専門分野に隣接する関連領域についての幅広い知識
  • 科学技術イノベーションに寄与するために必要な俯瞰力及び複数の考え方を総合して新たなものを作り上げていくデザイン力
  • グローバル社会に対応できるコミュニケーション力
  • 地域社会の課題を解決する力

理工学専攻

科学技術や社会の創造に貢献

理工学専攻には,数理科学コース,知能情報デザイン学コース,物理・マテリアル工学コース,機械・電気電子工学コースを置きます。本専攻では,数理,物理,情報の基礎知識を身に付け,その知識を基に,数理科学,物理学,情報科学,機械工学,電気電子工学,材料工学の発展に寄与し,新たな科学技術や社会の創造に貢献できる国際感覚に優れた高度技術者・研究者を養成します。

数理科学コース

数理科学の体系的知識と思考方法,数理科学を他分野に展開していく能力を身につけ,種々の社会的課題を解決できる高度技術者・研究者を育成します。本コースでは,現代数理科学における重要な内容を科目として配列しています。微分位相幾何,リー代数,環論,整数論といった抽象的に深化している構造数理の内容から,関数解析,微分方程式の定性的理論,偏微分方程式,力学系,エルゴード理論などの応用まで見渡せる解析数理の内容,そして凸解析,数値解析,金融数学,数理生物学,統計科学などの現象解明のためのツールとなる内容まで,数理科学における抽象化と具現化が学べる科目群を整備しています。また,東北師範大学とのダブルディグリープログラムにおいて,科目の読み替えと単位換算が直ちに可能となっています。

知能情報デザイン学コース

情報学の基礎から応用までの知識を身につけ,データサイエンス,情報セキュリティ,IoT などの情報技術の活用により,社会的課題の解決や社会からの期待の実現に向けた企画・提案を行うことができる高度技術者・研究者を育成します。本コースでは,情報論理学や計算量理論などにより基礎理論を学び,これらをベースとしてネットワーク,機械学習,システム設計,暗号,プログラミング言語などの中核技術についての原理と応用を習得する科目を展開する形としています。先鋭的な理論に関してはDNA計算,ファジイ・ラフ集合論を,また応用に関しては,福祉,データマイニング,プログラム解析技術を扱う科目を配して,その上で,「情報科学基礎」を設けて多岐にわたる分野を俯瞰できるよう工夫しています。

物理・マテリアル工学コース

物理学の基礎から応用までの知識を有し,種々の物理現象や機能の発現機構の解明,先進金属材料・エネルギー関連材料の創成,先進材料を用いた電子デバイスの開発等を行う高度技術者・研究者を育成します。本コースでは,理学系と工学系の科目を一つのコース内に配置しています。履修生の専門に関係の深い学問領域を深く追究できる科目を置くと同時に,関連する分野(理学系・工学系)の科目もまんべんなく配置しています。そのために,理学系の科目では,理論系科目(電子物性理論,ソフトマター,素粒子論)から実験系科目(磁性・光学)までを配置し,工学系の科目では,理論系科目(電子論)から実験系(金属,材料,電子デバイス)の科目を配置しています。これにより,理論(原理)と実践(応用)の相互関係を,理学系・工学系のどちらに基盤を置いても修得できる科目配置となっています。

機械・電気電子工学コース

機械工学,電気電子工学に関する幅広い知識を有し,知能化・高機能化が求められる時代の高度な社会基盤の構築及びものづくりに貢献できる高度技術者・研究者を育成します。機械工学の分野では,材料力学,機械力学,熱流体工学といった重要な力学系科目及び制御工学,機械設計,ロボット工学の応用系科目を配置しています。電気電子工学の分野では,様々なテーマを扱う科目を開講するなかで,特に,光及び電波を利用する工学の教育に力を入れる方針であり,これらを用いる先端的な計測技術と通信技術を扱う科目を充実させています。さらに,人間工学を扱う科目を開講しているのが特色です。学生が指導教員と共に履修計画を立てることによって,機械工学,電気電子工学に関する幅広い知識を修得できるようにしています。特別研究では,これらの学問分野に関連する先進的な研究を通して,実践的な研究遂行能力の育成を図ります。

教育目標

数理科学コース

学部で学び習得した数理科学の知識を土台とし,長い歴史と豊かな拡がりをもつ数理科学の内容についてさらに高度な理解を追求すると同時に,そこに課題を見出し,その解決を得るための研究推進を体得します。数理科学では,抽象化を広げる方向,仮定の見直しなど理論的枠組みを汎化していく方向,より利便的な同値命題の探索,現象解明の道具としての数理科学的思考の導入など,様々な研究方向がある中で,その多様性を理解しつつ,自らの研究課題を明確化し,論理を駆使して緻密に課題解決に接近する姿勢を身につけます。演繹的手法と帰納的手法を駆使し,数値的検証を重ねながら,数理科学それ自体の深化と緒現象解明に取り組める人材を養成する教育を行います。

知能情報デザイン学コース

情報学の基礎から応用までの知識を身につけ,データサイエンス,情報セキュリティ,IoT などの情報技術の活用により,社会的課題の解決や社会からの期待の実現に向けた企画・提案を行うことができる高度技術者・研究者を育成します。本コースでは,情報論理学や計算量理論などにより基礎理論を学び,これらをベースとしてネットワーク,機械学習,システム設計,暗号,プログラミング言語などの中核技術についての原理と応用を習得する科目を展開する形としています。先鋭的な理論に関してはDNA計算,ファジイ・ラフ集合論を,また応用に関しては,福祉,データマイニング,プログラム解析技術を扱う科目を配して,その上で,「情報科学基礎」を設けて多岐にわたる分野を俯瞰できるよう工夫しています。

物理・マテリアル工学コース

物理・マテリアル工学コースでは,理学としての原理原則を修得し探究心を養うこと,工学としての応用力・展開力を養うこと,および,その両者のバランス感覚を身に付けることで,グローバル化の中での地域の課題解決と振興を担える人材を養成します。価値の創造(工学的素養)は真理の探究(理学的素養)を基盤として初めて強力な力を発揮することをふまえて,物性物理学,素粒子物理学の理論的,および,実験的・物性評価的内容の教育を行なうとともに,地域からの期待が高い「金属・鉄鋼分野」をはじめ,地域貢献が期待できる「ナノテクノロジー分野」,「エネルギー関連分野」,「電子デバイス分野」の教育を行ないます。

機械・電気電子工学コース

機械・電気電子工学コースでは,機械工学及び電気電子工学の分野から幅広く科目を選択して専門的に深く学ぶと共に,これらの分野における先進的な研究を行います。このようにして,学生が,ものづくりを支える重要な学問分野である二つの工学分野に関する豊富な知識としっかりとした実践力を身につけられるようにしています。それにより,知能化・高機能化が求められる時代の高度な社会基盤の構築及びものづくりに貢献できる人材の育成を目指します。

環境システム科学専攻

環境と調和した社会への貢献

環境システム科学専攻には,地球科学コース,環境共生科学コース,物質化学コース,建築デザイン学コースを置きます。本専攻では,地球科学,環境共生科学,化学,建築学の基礎知識を身に付け,その知識を基に,環境と調和したより豊かな社会の構築に貢献する,実践力と創造力を備えた国際感覚に優れた高度技術者・研究者を養成します。

地球科学コース

フィールドを重視した地質学を基礎とし,地球科学の体系を理解する能力と地球史観を有し,資源開発・環境・地域防災・建設などに携わる高度技術者・研究者を育成します。本コースでは,研究科,専攻,コース(地球科学)をそれぞれ概観する授業を必修とし,自然科学系の幅広い教育・研究分野の中での地球科学の位置づけを理解した上で専門科目を履修するカリキュラム構造としました。コース必修の「地球科学基礎」は先端地球科学から自然災害科学までの内容を包括しており,理学系及び工学系専門科目履修のための基礎としました。フィールド地質学と地球環境科学の教育を強化するため学内他部局(エスチュアリー研究センター,教育学部)の教員を授業の担当と特別研究の指導教員として加えました。

環境共生科学コース

環境共生科学コースでは,自然と人間が真に共生する豊かな21世紀型社会の実現に向けて,生活環境,生産環境,自然環境を構成する様々な資源(水,大気,土壌,エネルギー,施設,機械,情報,動物,植物,微生物等)に関する学術,産業,教育,地域文化等に貢献できる研究者・技術者を目指す学生を求めます。本コースでは,環境資源を多角的に理解,評価,管理,保全,改善できる高度な見識と学力を有し,かつ確固たる責任感と倫理観をも備えた人材を育成する教育を行います。

物質化学コース

化学の基礎から応用までの知識を有し,宍道湖などの水系環境研究,環境の負荷低減に関する研究, 再生可能な資源やエネルギーの有効利用に関する研究や種々の機能材料の開発など, 幅広く物質化学に携わる高度技術者・研究者を育成します。本コースでは,研究科・専攻に関連した基礎的な内容に関する知識と技術,幅広い視野を身につけるために,研究科共通科目(自然科学概論,環境システム科学論,英語演習等)を履修します。その上で,物質化学に関する専門知識,技術を身に付けるための専門科目を,学生の興味・関心に沿って選択科目として履修します。また,問題点を分析し,課題を設定・解決できる能力を身につけるために, 実際の企業現場の課題解決を行うPBL教育(実践教育プロジェクト, 長期インターンシップ)を用意しています。さらに,課題に対して計画的に研究を推進できる能力及びその研究に関する最新の専門知識,技術を身につけるとともに論理性,創造性,倫理観を養うためのセミナー及び特別研究を必修科目として履修します。

建築デザイン学コース

建築学における構造・環境・計画・意匠の専門的知識を有し,建築やタウン・アーキテクトの分野で人や環境にやさしい社会の構築に貢献できる高度技術者・研究者を育成します。本コースでは,一級建築士の受験資格の実務経験2 年を減免することが可能になるように建築設計・工事監理インターンシップ科目を開講し,より実践的な教育カリキュラムを構築しています。また一級建築士の実務経験に関連する建築設計についての科目や修士設計を教育プログラムに取り入れています。また建築構造・住環境,建築計画デザインの各分野における高度な専門教育を行う科目を開講するとともに,各分野においてそれぞれフィールドワークを行う演習科目を設けており,地域に根ざした実践的な教育を行います。

教育目標

地球科学コース

地球環境システム,太陽系の中の1惑星としての地球の環境から,島弧としての日本列島にある地域の環境までの空間的広がり,また,46億年前の地球形成から今日まで,さらに将来の環境予測を含めた地球史観的(時間的)広がりの両者を包括した意味の環境を地質学をベースとしてアプローチします。具体的にはフィールドを基礎とした先端地球科学(地質学・岩石学・鉱物学),過去から現在の地球環境の復元と計測,環境の未来予測,金属・非金属・エネルギー資源の成因とその開発,自然災害発生メカニズムの解明,また防災・減災のための技術や工法についての教育を行います。

環境共生科学コース

環境共生科学コースでは,自然と人間が真に共生する豊かな21世紀型社会の実現に向けて,生活環境,生産環境,自然環境を構成する様々な資源(水,大気,土壌,エネルギー,施設,機械,情報,動物,植物,微生物等)に関する学術,産業,教育,地域文化等に貢献できる研究者・技術者を目指す学生を求めます。本コースでは,環境資源を多角的に理解,評価,管理,保全,改善できる高度な見識と学力を有し,かつ確固たる責任感と倫理観をも備えた人材を育成する教育を行います。

物質化学コース

物質化学コースは,環境と調和したより豊かな社会の構築に寄与するため,化学及びその周辺領域の専門知識と応用力を身につけた高度技術者・研究者の養成を目的とし,以下の項目の修得を教育目標として教育を行います。

1.物質や反応の原子・分子レベルからの合理的な解析・理解,環境中の物質の分析や機能をもった物質の開発等を行うための,化学の基礎から応用にわたる高度な専門知識・技術
2.問題点を分析し,課題を設定・解決できる能力
3.地域から地球規模にわたる社会での問題に対し,化学の果たす重要性・役割を理解し,倫理観を持って行動する能力
4.論理的な記述力とグローバルなプレゼンテーション能力及びコミュニケーション能力
5.広い視野を持って自然科学・科学技術を持続的に学び,その発展に貢献できる創造性

建築デザイン学コース

建築デザイン学コースでは,地域に根ざした建築学を目指しており,実在の都市や建築に即した実践的な教育を行うために,企業や行政と連携しながら,フィールドに重点をおいた教育を行います。安全な暮らしに求められる耐震設計,地域産材である木材の活用と伝統工法の継承,人と環境にやさしい住まい,地域資源を生かした建築都市空間の整備/まちづくりといったさまざまな地域課題を解決するために,建築デザイン学分野における高度な専門知識を実践的に応用できる人材を育成します。

農生命科学専攻

生命科学と農学の発展に貢献

農生命科学専攻には,生命科学コース,農林生産学コースを置きます。本専攻では,生命機能を科学する能力を備え,農林生産物を利活用するための高度な専門知識・技術・課題解決能力を有し,かつ国際感覚に優れ自立的で人間性豊かな高度技術者・研究者を養成します。

生命科学コース

生命科学コースでは、生物を分子から生態系まで様々な階層から捉え、最先端の技術を駆使し、生命現象の全体像を解明し、それらをヒトの未来社会に生かすことを目的として教育・研究を行っています。教育では、生命現象に関する基礎から応用までの多彩な講義・演習プログラムを用意し、柔軟な発想力に基づいて自ら研究を推進する能力、コミュニケーション能力、物事を多面的に捉えて本質を見抜く思考能力などを身につけることができるよう、セミナーや研究指導を行っています。将来、生命科学の研究・教育に携わることを希望する人、バイオメディカルや機能性食品等の分野で活躍したい人、生態系を複合的に理解して環境問題に対処したいと考えている人など、従来の生物・バイオテクノロジー関連分野の枠を超えた研究や産業の新分野を開拓しようとする人たちに最適な教育プログラムです。

農林生産学コース

農林生産学コースは,資源作物・畜産学,園芸植物科学,農業経済学,森林学の4コースからなる農林生産学科の学部教育をより高度化させます.農業生産,農業経済,森林管理に関する多角的な解析を通して,食料・農林業・農山村の広範囲にわたるメカニズムや多様性を学び,農林生産学分野の理解を深めること,農林生産分野の諸課題の研究を主体的に進め,その内容を的確に表現できる能力を身につけることを教育の目標としており,農林生産物に関する持続可能な生産技術,農業経営・経済についての総合的な知識を身につけ,農林業や農山村がもたらす豊かな人間生活の実現に貢献できる高度技術者・研究者を育成します。

教育目標

生命科学コース

共通科目の履修により,英語力,数理・情報能力を高めるとともに広範囲な自然科学分野の理解を深めます。専門科目の履修により,生命分子の化学的な解析手法から,微生物,植物,動物に渡る広範囲な生物種の基本的メカニズムや多様性を学び,生命科学分野の理解を深めます。セミナーでは,国際誌に掲載されている最新の研究論文を精読し,研究の背景を十分に理解できる能力を身につけます。特別研究では,主指導教員の指導を中軸として,副指導教員の協力を得て,生命科学分野の諸課題の研究を主体的に進め,その内容を表現できる能力を身につけることを目標とします。

農林生産学コース

共通科目の履修により,英語力,数理・情報能力を高めるとともに広範囲な自然科学分野の理解を深めます。専門科目の履修により,農業生産,農業経済,森林管理に関する多角的な解析手法から,食料・農林業・農山村の広範囲にわたるメカニズムや多様性を学び,農林生産学分野の理解を深めます。セミナーでは,農林生産学に関する国内外の最新の研究論文を精読し,研究の背景を十分に理解できる能力を身につけます。特別研究では,主指導教員の指導を中軸として,副指導教員の協力を得て,農林生産学分野の諸課題の研究を主体的に進め,その内容を表現できる能力を身につけることを目標とします。