人間社会科学研究科(修士課程)の新分野・アーカイブズ学の開設について

 島根大学大学院人間社会科学研究科社会創成専攻では、新たにアーカイブズ学分野を開設しました。当分野では、アーカイブズ学の教育・研究を通じて、現代社会の様々な課題に対応するとともに、山陰地方初となる認証アーキビスト資格(国の公的認証制度)に対応したカリキュラムを編成し、これからの地域社会に貢献する専門職の育成を目指します。
 また、本年6月には
認証アーキビスト養成プログラムの開講科目が、独立行政法人国立公文書館の令和3年度認証アーキビストの申請に必要とされる知識・技能等の要件を満たすものとして、認定を受けました。

http://www.archives.go.jp/ninsho/application/index.html 
 本プログラムで開講している科目を履修することにより、認証アーキビストの資格を取得するための基本的な知識・技能とアーカイブズ学に関連する最新の研究動向を学ぶことができます。必修科目12単位を修得し、所属するコースの修了要件を満たした場合、修了認定に係る申請を行うことができます。

 認証アーキビストの申請方法についての詳細は、『令和3年度 認証アーキビスト 申請の手引き』(令和3年6月 国立公文書館)をご覧ください。  

 

〇アーカイブズ学とは

 人間が社会活動を営むなかでは、様々な文書や記録が生み出されます。こうした文書・記録は組織の健全な運営に不可欠であるとともに、社会に対する説明責任や市民の権利保障、過去の行為の検証や将来の創造的な活動の資源としてなど、様々な目的に役立てられるものです。このような多様な価値をもつ文書・記録のうち、長期的・永続的に保存すべきものをアーカイブズと呼びます。そして、アーカイブズ学とは、多様な価値をもつアーカイブズ資料を適正に管理し、収集・整理・保存し、利活用を可能にするための理論や実践的な方法論について研究する学問です。

 

〇アーキビストとは

 国や地方公共団体、企業などの組織体の業務遂行において作成される文書・記録のうち、永続的な保存価値のある文書・記録を収集し、保存・整理して利用可能にする専門職のことをアーキビストと呼びます。近年、公文書の不適切な管理が社会問題となる一方、それを市民の知的共有資源として明確に位置づけ、制度化する動きが広まりつつあり、アーカイブズ資料を納める機関(公文書館や資料館など)を設置する自治体等組織も増えてきています。こうしたなかで、個人や組織、そして、社会にとって重要な記録の適正な管理・保存、利用提供を職務として遂行するための専門的な知識と高い倫理観をもった専門職アーキビストの存在が求められています。

 また、とくに、組織体における文書・記録の適正で効率的な管理を指揮する専門職については、レコード・マネジャーと呼ばれます。社会創成専攻では、記録管理(レコードマネジメント)の能力も兼ね備えたアーキビストの養成を目指します。

 

〇認証アーキビスト資格について

 独立行政法人国立公文書館は、令和2年度から認証アーキビスト制度の運用を開始しました。社会創成専攻では、この認証アーキビスト資格に対応したカリキュラムを編成しています。

(参考)独立行政法人国立公文書館「アーキビストの認証について」

http://www.archives.go.jp/ninsho/index.html

 

〇修了後の予想される進路

・国・地方公共団体、大学等研究機関が設置するアーカイブズ施設における記録・アーカイブズ管理の専門家

・国・地方公共団体等の職員

 ・図書館・博物館・資料館などの類縁機関における資料管理の専門家

 ・民間企業の記録・アーカイブズ管理の専門家