事前学習・フィールドワーク・成果のまとめを自分たちで設計する(法文学部・渡邊 誠)

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Q まずは渡辺さんご自身の専攻や研究について教えてください。
A 法文学部の社会文化学科現代社会コースに所属していて、専攻は地理学です。ゼミでは、今年、福岡県の博多港の開発をテーマにフィールドワークを行いました。25年ほど前に博多港が再開発されて、アイランドシティという企業や住宅が集まる地域ができたのですが、そこにどのような企業が進出しているのか現地調査を行いました。港が整備され、大きな船が通ることができるようになったことに伴い、大きな倉庫を持った物流の企業が進出しているほか、ベジフルスタジアムという卸売市場に関連する企業が多く進出していることが分かりました。もともと、他の港の方が便利だったのですが、土を掘って港を大きく開発した結果、大型の船が通ることができるようになり、物流に関係する企業がたくさん集まってきたようです。

Q 地理学とはどのような学問だと考えていますか。
A 地理学はフィールドワークで調査したことを地図を使って説明するという方法に特徴がある学問です。表やグラフで図示することは他の学問でもおこなわれますが、歴史や経済、社会の様子など地図を使って分かりやすく伝えることができる学問だと感じています。ただし、地図上には様々な情報を示すこともできますし、人によって読み取り方も違いますので、だからこその難しさもあります。また地理学は特にフィールドワークが大切な学問だとも思います。直接現地に赴いて、現地の人に話を聞いたり、観察したりするフィールドワークでどのようにしたら知りたい情報を得ることができるか、その重要性を感じています。

Q 今回ギャップタームで行った活動について教えてください。
A 法文学部では自主ゼミという活動を行っています。今年は1年生から3年生の約8人で石見銀山の大久保間歩、大森町、温泉津の街並みの観察やインタビューなどのフィールドワークをギャップタームの中で行いました。事前に2週間に1度程度集まり、それぞれがフィールドワーク対象地域に関する事前学習結果をパワーポイントでプレゼンし、学びを深めてから実際に現地に赴きます。

Q 事前の学習で得た情報と比べて、実際にフィールドワーク行ってみた結果はどうでしたか。
A 事前の学習では地図を用いて店の場所などを調べていましたが、現地では工事中や店がなくなっていたりなど違いがあることが分かりました。地図上ではわかりませんでしたが、洞窟の掘り方についても、手堀りであったり爆薬を使って掘ったりと時代によって異なることや、ヨコエビという珍しいエビが洞窟内にいることなど、事前の学習では知りえなかった情報をガイドさんからたくさん教えていただいたりと新たな発見がありました。今、来年のオープンキャンパスや1年生向けの研究室紹介で使用するために、パワーポイントで作成した資料を模造紙に移して整理しているところです。

Q フィールドワークを経験したことでの自身の変化や成長を感じることはありますか。
A 人と人との関わり合いのなかで自分がどのように研究を進めることができるのかを考えることができたと思います。大学の授業ではあらかじめ課題が設定されていて、設定された対象について深く学ぶことが求められますが、自主ゼミでは、自分である程度自由にテーマを設定できます。自分で設計した研究を自由にできること、それを人と関わり合いながら対象への認識を深めていくことができることなど、実際にフィールドワークを経験し、その方法を理解できたことは今後の研究にプラスになったと感じています。また、今回の経験を通じて、何が必要か事前に考え、仮説を持ってフィールド調査に臨むことの大切さを改めて理解しました。

Q 渡辺さんは将来就きたい仕事はありますか。また、大学での学びは将来にどのように活きると思いますか。
A 地元で新聞社に就職したいと考えています。この夏にインターンシップで新聞社に行かせてもらいました。仕事の内容についても少し理解できましたし、新聞記者というのも現地に行って話を聞いたり、事前に質問などを準備してアポ取りしたりと、今のフィールドワークの学びとつながる部分があると考えています。

Q 1、2年生の頃は夏休みや春休みの期間にどのようなことをしていましたか。また、ギャップタームが長く設定されていることについてはどう思われますか。
A これまで部活(ハンドボール)のほかには旅行に行ったり友人と遊んだり地元に帰ったりと楽しんでいました。他の大学よりも夏休みが早く訪れることで部活動では他大学よりも大会の準備ができたように感じます。長くギャップタームが設定されていることは私にとってはやりたいことに集中できる期間なのでとてもありがたいことです。